ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2003.2.19

危機覚悟し万全の備え 毎日新聞掲載 「イラクの空の下で ピースウィンズ現場報告」

イラク 海外人道支援

「戦争では弱い者から死んでいく。私たちクルド人は何度も何度も犠牲になった」
 国連査察団によるイラクの大量兵器に関する報告書が出た1月27日、イラク北部・クルド人自治区のレストランで、ピースウィンズ・ジャパンの現地人スタッフが、そう言って嘆いた。
10年前、私は大学院の研究のためトルコから単身国境を越えてクルド人居住地区に入った。避難民の救援に奔走する欧米のNGOや国連機関の活動に突き動かされ、以来、この地域にかかわり続けている。
米国がイラク攻撃を始めれば、水や電気の供給、医療サービスなどが止まり、多くの難民・避難民が出る心配がある。私たちは緊急用の薬を50種類以上、備蓄している。外傷のほか、衛生・栄養状態の悪化で増えると考えられる肺炎や下痢、さらに糖尿病、心臓病などの慢性疾患にも対応できる。
クルド人はずっと虐げられてきた。化学兵器に対する恐怖も根強い。イラン・イラク戦争のさなかの1988年、イラク軍が「イランと通じた」として自治区内の町や村を化学兵器で攻撃し、数千人が犠牲になった。私たちは、炭疸菌などの生物兵器対策として数種類の抗生物質を、サリンやVXガス用として数千人分の解毒剤を用意している。「防毒マスクは」と聞かれることもあるが、その準備はない。住民全員の分がない以上、奪い合いになる危険もあるからだ。
自治区ではクルド人のだれもが「サダム(フセイン・イラク大統領)がいる限り平和はない。平和と安定なくして地域発展は望めない」と話す。だが、その一方で、自分たちが被害を受けるかもしれない戦争への不安は増している。
 私たちは国際政治や戦争の行方にかかわらず、あらゆる事態にいち早く対応する決意だ。
(文/統括責任者 大西健丞)
※2月6日付 毎日新聞夕刊に掲載された原稿に一部、加筆したものです

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