ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2003.1.7

「英語を使う仕事が夢」 父は子どもの教育が心配

イラク 海外人道支援

生存の恐怖に限らず、生活上の困難に直面したとき、その場から”抜け出す”という決定はだれにとっても重いものです。仕事のことや家族のことなど、考えるべきことがいくつもあるのは、民族や地域が違っても、同じです。
スレイマニアにほど近いキャンプに暮らす国内避難民、ムスタファさん(45歳、仮名)の話を続けます。
ムスタファさんが最も頭を痛めたのは、6人の子どもたちの教育、とくに17歳のファティマさん(仮名)と、15歳のカシム君(仮名)のことでした。
イラク中央政府側の地域にあるキルクークに住んでいたころ、ムスタファさんは彼らが通う学校の先生から「お宅の娘さんと息子さんはとても優秀ですね」とほめられていたそうです。
カシム君が好きだった科目は英語。将来は「通訳かエンジニアになりたい」といいます。ファティマさんはバスケットや走ることの好きなスポーツウーマン。夢は、やはり好きな英語を生かした仕事に就くことで、「お医者さんになりたい」と話します。
「医療を通じて、この社会を支えていきたいの。それに、科学や教育は私たちの社会を変えていくために重要でしょ」
彼らを受け入れてくれる学校はまだみつかりません。自習するための教科書もありません。それでもカシム君は、「お父さんは仕事をなくしてしまったのに、何も助けてあげられない」と気遣います。
ムスタファさんはキャンプのことを、自治区に逃れた人から聞いて知っていました。途中の検問所での取り調べのため、持参できたのは毛布だけでした。
「生活は厳しいし、仕事もできない。でも、ここは安全だと思う。だから満足している」とムスタファさん。 「だれも手助けなんかしてくれないと思っていたのに、多くの人道援助団体の人が来て、手をさしのべてくれる」のが予想外でした。
ムスタファさんは、「キルクークに帰ることばかり考えている」といいます。「キルクークの状況がよくなってほしい。そしたら家に帰る」。カシム君は「友達もいるし、もし帰れなかったらと考えると心配」と打ち明けます。イラク中央政府側の地域を離れ、自治区に移り住むクルド人国内避難民が今もいます。
安全上の理由により、名前・地名などの一部を変更・秘匿しています。

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