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【イラク】イラク北部シンジャール山に逃れたヤジディ教徒~インタビューレポート(1)~

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、イラク北部において帰還民・帰還地域住民・国内避難民・シリア難民に対する緊急人道支援を実施しています。国内避難民には、様々な境遇で武装勢力による侵攻から逃れて住み慣れた土地を離れ、国内の別の土地に避難した人々が含まれますが、その中に、信仰を理由に襲撃を受け、避難を余儀なくされたヤジディ教徒の人々がいます。シンジャール市周辺の村落からシンジャール山に逃れ、避難生活を送っているヤジディ教徒の人々に対し、PWJでは給水支援とごみ収集支援を行っています。

今日から3回にわたり、シンジャール山の受益者から届いた声をお届けします。第1弾となる今回は、6人の子どもを持つAさん(50歳)のインタビューレポートです。

第2弾の記事はこちらから:https://global.peace-winds.org/activity/iraq/16266
第3弾の記事はこちらから:https://global.peace-winds.org/activity/iraq/16269

Aさんは、国内避難民となるまで、農業と畜産で生計を立てながら、奥さんと6人の子どもを含む家族を支えていました。住んでいた村では、皆でお祝い事をしたり、親戚で集まって食事をしたり、子どもたちは近所の友達と遊びに興じたりととても幸せな日々を過ごしていた、と振り返ってくれました。現在は、シンジャール山の国内避難民居住地区で、子どもたちの未来を力強く信じながら、村への帰還を心待ちにしています。

Aさん シンジャール山の国内避難民居住地区にて

「イスラム国」が攻めてきた時、私たちは家族で羊の世話をし、妻はパンを焼いていました。彼らの信条と異なる考えを持つ者に残虐なふるまいをすると知っていたので、私たちは恐怖におののき、皆の表情には強い恐怖が見て取れました。妻の兄弟が「イスラム国」に捕まり、妻は恐怖で叫び声を上げましたが、私にできるのは、妻の手を握り、少しでも落ち着かせることぐらいでした。逃げ道が限られる中、私たちには、すべてを置いてシンジャール山に向かって逃げることしかできませんでした。

 着の身着のまま、シンジャール山に辿り着き、4日間隠れていましたが、水も食べる物もなく子どもたちに苦しい思いをさせたままにはできません。私は、(最低限必要な物を取りに)命の危険を冒して自宅に戻りました。

 その後、再び合流して家族でシンジャール山の頂上に辿り着き、以来(この4年間)ずっとこの山に住んでいます。クルディスタンへの輸送便が助けに来てくれると聞いていましたが、山の上には本当にたくさんの人々が避難していて、(優先的に輸送される)病気を患った人や身体が不自由な人も多くいたので、私たちには山に残るしかありませんでした。NGOからの支援を受けるため、国内避難民として身を寄せ合ってテント生活をするようになりました。」

 国内避難民となった経緯をこのように語ってくれたAさん。現在は、ほかの避難民とともに住んでいた村に帰還できる日を信じて、どのように未来を築いていくか、毎日のように話し合いをしています。

「山の上でのテント生活は、楽なものではありません。夏には気温は45度に達し、冬には零度まで下がります。もちろんエアコンはありませんし、冬季の寒さをしのぐ暖房器具はガソリンヒーターのみです。避難してきてから4年が経ち、テントはぼろぼろになってきました。
 今はまだ地雷が残っている危険があるので村に戻って生活することはできませんが、すべての地雷が除去され、安全性が確認され次第、戻りたいと思っています。村の人々と一緒に、良い未来を築くために努力をしていきたいと思います。

 多くの物を失いましたが、家族がみな健康で生きていること、それが私にとって何よりの支えです。「イスラム国」に連れ去られた妻の兄弟が解放されれば、これ以上に嬉しいことはありません。
 私たちには希望があります。高校卒業の学歴を持つ長男は、現在、学校で講師として働き、弟を大学に行かせるために稼いでいます。そして別の息子は、大学に進学するために努力しています。お互いを助け合う子どもたちを、私は大変誇りに思います。子どもたちは、助け合いながら進学し、やがて医者やエンジニア、教師となって村の繁栄を支えてくれるでしょう。」

※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金やみなさまからのご寄付により実施しています。
※イラクの現地情勢を考慮し、関係者に危険や不利益がおよばないよう、人の名前は仮名を使用しています。

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