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【イラク】クルド自治区アルビル市の女子中学校の校舎修復を終えて

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)はイラク北部のアルビル市とドホーク州において、小中学校3校の改築・修繕、教育環境の改善に取り組んでいます。4月下旬の晴天の日、PWJが支援をするスノバー女子中学校(スノバー校)に、在イラク日本大使一行と現地政府の教育省と教育局の代表が視察に訪れました。
(在イラク日本大使館のHPにもプレスリリースが掲載されました)
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写真左:スノバー女子中学校の生徒たち
同右:(左から)学校を訪問した教育局代表、教育省代表、在イラク日本大使、PWJ現地代表
スノバー校は、女子教育推進のために1961年に開校。1998年にユネスコにより校舎の一部が改築されましたが、老朽化が進み、ドアと窓の多くが閉まらず、学校の家具は破損し、数が不足していました。また、トイレから下水が溢れて悪臭を放ち、蛇口が壊れて水が使えず、電気は配線の故障で全く使えない状態にありました。
このような環境にも関わらず、同校はアルビル市内でトップ10に入る学力を誇り、貧しい地区として知られる当地域から通う低所得家庭の子どもたちにとっては、明るい将来を開く希望の場所としてとらえてられています。スノバー校の教育環境を整えることは生徒の学習意欲をさらに向上させることにも繋がります。
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                スノバー校の生徒たち。視察時にはクルド舞踊も披露
イラク北部のクルド自治区は現在、地域人口の4分の1にも及ぶ数のシリア難民およびイラク国内避難民を受け入れています。現地政府は、難民と国内避難民の衣食住を確保し、キャンプに水と電気を無料で供給し、ゴミ回収や公衆衛生を保つなど、難民を受け入れる側として、国連機関やNGOとともに最善を尽くしています。
一方で、かつては国家財源の98%を占めていた石油収入は、オイル価格の下落や長期化するイスラム国との内戦の影響によって減少し、現地政府には基礎インフラを補修・拡張する予算がありません。教員を含む公務員の給与は70%カットされ、昨年9月以降、遅配が続いています。
教育局が作成した改築が必要とされる学校のリストは700校に上り、さらに難民と国内避難民による人口増加に対応するためには、5年以内に3,000校の新設が必要であると教育省は発表しました。PWJが活動する地域の学校では、難民と国内避難民の生徒が増え、半日制や1日3シフト、週3日制にするなど、学校ごとに限られた教室で授業ができるよう工夫しています。現地の学校で使われるクルド語がわからない生徒はアラビア語で授業が受けることができる学校へ移り、男女別の授業を希望する家庭は女子校のある地域に引っ越しをします。

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財政が逼迫する中でも教育環境の改善を推進している現地政府の要請を受け、PWJと教育局のエンジニアは、改築が必要な学校の調査を実施し、学校の破損状況、自主管理の可能性、生徒数などを調査。その結果、避難民も通学している、もしくは避難民生徒を受け入れ予定である3校を支援対象に選定しました。
スノバー校では、教育省の基準に合わせて、教室のドアのサイズを拡張し、転倒防止の柵を2階に設置。その他、試験会場兼集会室を新設し、電気系統、トイレ、手洗い場、水飲み場、校門、教室、職員室の修理を行いました。
また、イラクの都市部の学校ではコンピューター室を設けることが一般的になりつつあり、アルビル市でもコンピューターの授業が教育指導方針に含まれていますが、スノバー校には今までパソコンがなく、机上で理論を教えるしかありませんでした。そのような環境も改善するため、今回コンピューター室も新設しました。
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写真上段左:ドアのサイズの拡張工事の様子、同右:2階に設置した落下防止柵
同下段左:PWJが設置した水飲み場、同右:新設したコンピューター室
今回の事業を通して、教育環境が改善され、生徒の学習意欲が向上し、女子教育の希望の場として、将来への可能性がさらに広がることが期待されます。

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スノバー校の教職員とPWJのスタッフら

※本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や皆様のご寄付により実施しています。

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