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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2004.7.19

PWJの耐震構造建築に反響広がる

イラン 海外人道支援

イラン震災後の緊急支援活動の一環としてピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は耐震建築技術の普及に取り組んでいます。被災地バムで初の大規模な「耐震構造ワークショップ」を開催して、参加者から多くの賞賛の声が寄せられたほか、住宅再建を主導するイラン住宅公社の展示場にモデルハウスを建設することも決定。イラン教育省傘下の団体とは、耐震性に優れた学校の建設に向け、意見交換が始まっています。

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写真左:多くの関係者が集まった耐震構造ワークショップ
写真右:発表を行うPWJスタッフの今井
(C)Peace Winds Japan

【脆弱な建物が犠牲を生んだ・・・】
「人びとが犠牲になったのは、地震のためではなく、建物に押しつぶされたのでもなく、建物の脆弱性によってである」。現地では、そんな言葉が交わされているそうです。

震災で4万人が死亡し、住民の90%が家を失ったといわれる被災地の復興にかかわる人たちの間では被災後、「耐震性を考えた建物が普及していれば、これほどの犠牲者は出なかったのではないか」という反省の声が広がりました。復興支援に取り組む日本の関係者のなかからも、「地震国イランで震災の被害を小さくするためには、耐震性を考えた建築技術が不可欠。バムの再建にあたって耐震建築普及の視点を」との意見が出されました。

アフガニスタンでも耐震建築技術の普及に取り組んできたPWJは、イランはとくに住宅に対する耐震構造の普及が必要と判断。仮設校舎の設置などを進める一方、住民、なかでも建築・建設関係者に耐震技術を広めるため、ワークショップ(研修会)を開催するとともに、ワークショップに合わせてデモンストレーション・モデルも建設しました。

【現地の素材、技術を生かして】
いくら優れた工法であっても、現地の慣習や工法、建築コストから大きく離れてしまっては一般的なものにはならないし、日本の感覚の「押し付け」にしかならないとPWJは考えています。そのため、現地の感覚・技術を生かした建築支援に取り組んできたPWJスタッフで一級建築士の今井弘をイランに派遣。さらに2001年に起きたインド西部地震での復興活動の実績を持つインドのNGO「Hunnar Shaala(フンナー・シャーラ)」の技術者をイランに招き、現地の建築に関する調査を行ったうえで、現地に合った耐震構造建築を模索しました。

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ワークショップにあわせたモデルハウス
(C)Peace Winds Japan

その結果、今回PWJは2つのタイプの耐震建築を提案しました。1つは、現地で広く行われている焼きレンガをつかった壁づくりを基本に、建物外周を一周するコンクリートの「バンド」を4つの高さに埋め込み、屋根との接続部に鉄筋などを使って補強するタイプ。もう1つは、「ラムド・アース」という工法で、レンガではなく、土をつき固めた素材で壁をつくり、やはりコンクリートの「バンド」で補強する工法です。2つ目の工法のために現地の土質の検査も重ね、セメント9%の割合で混合することにより、強度を高めています。

実際に、現地の建築関係者や作業員を雇用して2つの工法によるデモンストレーション・モデルを建設。完成後の5月16日、バム市内で行ったワークショップで、工法の特徴などを紹介しました。バム市内ではそれまで、震災や復興に関する本格的なワークショップは開かれていなかったため、関係者の注目度も高く、国外のNGOなどと協調することの少なかったイラン住宅公社などとの共催となりました。ワークショップ当日は今井をはじめ、住宅公社幹部、Hunnar Shaala、地元の大学も発表に立ち、現地の建築・建設関係者ら約200人の参加が得られました。

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写真左:鉄筋を入れて強さを出す
写真右:屋根にも強度を保つための工夫
(C)Peace Winds Japan

【広がる賞賛と反響】
ワークショップで発表を行った今井や現地のPWJスタッフのもとにはワークショップ後、「耐震工法などについて詳しく知りたい」などの問い合わせが多数寄せられました。やはり耐震建築の普及を目指す住宅公社からは、「公社が提案する各種の耐震工法を紹介する『住宅展示場』に、あらためてモデルハウスを建設してほしい」との要望がありました。住宅展示場で紹介する工法として他に先駆けて選定されたことは、NGOの提案としては異例です。

また、公共施設が率先して耐震性を強化していく必要があるとのPWJの主張に対し、イラン教育省の傘下で学校の再建を進めるノサジから「ぜひ耐震工法を取り入れた学校を建設してほしい」との要請があり、この計画も進めています。

再建されるバムの都市計画がなかなか決まらないこと、家族や職を失った住民にとっては住宅再建の資金を確保することが難しいことなど課題は小さくありませんが、PWJの提案は確実に現地で注目を集めています。

今井は「従来の工法に比べて、今回提案した工法のコストは7%程度高いだけ。修飾にかけている費用を少し削れば、生み出せるくらいの金額で、生命を守ることができるということを、できるだけ多くの人たちに伝えていきたい」と話しています。

*耐震建築普及事業は、ジャパン・プラットフォームの協力を得て進めています。

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