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私たちの活動

スマトラ島沖地震・津波被災者支援 経過報告

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)はスマトラ島沖地震発生直後より、インドネシアのスマトラ島北部、ナングロ・アチェ・ダルサラム州(以下アチェ州)で支援活動を行っております。多くの一般の方々、企業、団体よりご寄付をいただき続けている活動のうち5月15日までの支援状況をご報告します。

 

【インドネシア被害総数】

スマトラ沖地震・津波の被害(2004年12月26日発生)
死者:12万8515人      
行方不明:3万7063人              
避難者:53万8898人  
(UNOCHA=国連人道問題調整事務所=による)  

ニアス島沖地震の被害 ( 2005月3月29日=日本時間=発生)
死者:626人
避難者:3万4000人
(Relief Webによる)

 

【初期活動の記録】

  • 12月26日地震当日、インドネシア、スマトラ島アチェ州での支援を決定。被害に関する情報はあまり伝わっていなかったが、アチェは震源地に近く被害が甚大であること、また、紛争地であるため支援の手が届きにくく、PWJの支援がより必要となることを予想したため。
  • 12月27日にスタッフ2人からなる第1陣が日本を出発。その後、初期支援活動のために、後続のスタッフが次々にインドネシア入りした。1月末までに計11人の国際スタッフが現地に赴いた。
  • 12月末より、アチェ州に接する北スマトラ州のメダンに拠点を置き、物資調達を行うとともに、情報収集に努めた。
  • 12月29日、支援の遅れが心配されたアチェ州西海岸のムラボーでの支援を決定。情報ならびに陸路・海路・空路とも交通が途絶し、陸の孤島と化していることが判明した。
  • 2005年1月1日、二派に分かれたスタッフが、一方はヘリコプターでムラボー市内に到着、他方はムラボーから少し離れたブランピディの空港へ小型チャーター機で緊急支援物資を空輸。その後陸路で、ムラボーに到達し、医薬品やビスケット、パック入りのジュースなど火を使わない食糧を被災者に提供。PWJはムラボーに到達した最初の国際援助団体となった。
  • 1月末までに、70トンを超える緊急支援物資(医薬品や食糧)をムラボー近郊の人びとに配給。
  • 1月上旬、ムラボー近くのアルビリ村に仮事務所を開設した後、1月下旬にムラボー市内に事務所を開設。
  • 1月上旬よりアチェ州の州都バンダアチェにて情報収集開始。
  • 1月中旬、バンダアチェにも事務所を設置。支援体制を整えた。

 

【ニアス島地震被災者支援】

  • 地震発生後の情報収集により、ニアス島の北に点在する99の小島からなるバニャック諸島は、震源地に近いにも関わらず、援助団体から支援が届いていないことが判明。PWJはムラボー及びブランピディで調達した支援物資(ミネラルウォーター、米、ビニールシート、インスタントヌードルなど)計40トンを4月3日、6日、8日の3回に分けて配布した。

 

【復旧支援活動】

  • 緊急物資の配給が一段落し、被災者が今後の生活の再建を目指すようになったことに伴い、支援活動も再建支援へと移行していった。
  • UNOCHA(国連人道問題調整事務所)の報告によると5月3日の時点で、被災者の36%は親戚・友人宅などに身を寄せ、47%は被災者キャンプなどで生活をしている。政府が建設したバラックには17%の被災者が生活している。被災者にとって住居再建は重要な問題であるが、インドネシア政府による復興計画(マスタープラン)の策定、開始が遅れたことなどにより、住居再建は遅れている。
  • PWJは、引き続きムラボーならびに、バンダアチェに拠点を置き、現地スタッフとともに、復旧のための支援を展開している。2月末にメダン事務所を連絡所に縮小し、ムラボー、バンダアチェ事務所にスタッフを集約した。
  • 初期緊急支援の収束とともに、国際スタッフの勤務体制も確立し、3月末以降、5月中旬まで、国際スタッフ3〜4人、現地スタッフ50人程度で、支援活動を継続している。

 

【活動実績】
(特記ない項目は、集計作業の完了した2005年3月31日までのデータ)

1.物資の配給

ムラボー地域 被災した村や避難民キャンプを合わせて82カ所に物資を配布。物資を受け取った人の総数は3万人以上。主な配給物資は蚊帳5127張、就寝用マットレス7800枚、下着(男女用合わせて) 1万7426枚、サンダル7000足、サロン(腰巻)1501枚、調理用ストーブ182台など。

バンダアチェ 
被災した村や避難民キャンプ合わせて20カ所、約1万人に対して物資の配給を実施。主な配給物資は就寝用マットレス1380枚、下着(男女用合わせて)1万8708枚、調理用ストーブ1421台、サロン(腰巻)3333枚など。

 

2.帰還支援 瓦礫の撤去作業

アチェ州の海岸沿いの地域には、津波で流された泥や瓦礫が道路や家の中にとどまり、人々の帰還を妨げていたため、PWJは住民に用具を提供し、瓦礫の撤去作業を行った。大半の住民が被災で職を失っているため、一日の作業に対して支払われる日当は、貴重な収入源として、生活に必要な品を購入するのに役立った。

ムラボー周辺 ムラボー周辺3郡の道路や家屋など13カ所で地元の住民らによる清掃作業を行った。参加住民数は、事業を開始した2月中旬から3月末までの延べ人数で1万3342人。最大時は1日に750人。清掃の済んだ道路の延長は約58km。

バンダアチェ バンダアチェ市内の村で、地元住民らによる家の中や道路・排水溝の瓦礫撤去作業を1月中旬から3月中旬まで行った。参加住民数は延べ4050人、最大時は一日に150人。村内で現存する家の約8割に当たる184戸の清掃終了。清掃した排水溝の延長は約5km。

 

3.衛生・水

ムラボー周辺

・避難民キャンプや被災した村22カ所において井戸水の水質検査を実施。
・避難民キャンプや村で衛生教育を実施。水は沸騰させること、沸かした湯は清潔な容器で保存すること、台所作業の前には手を洗うことなどを指導。蚊帳の正しい使い方も指導。
・1カ所の病院に医薬品を配布。
・避難民キャンプ内で用具を配り、住民とキャンプ内の清掃を実施。
・衛生用品の配布は、粉末洗濯用洗剤約2トン、歯ブラシ6011本、生理用ナプキン3万1968枚、シャンプー290リットルなど。

バンダアチェ

・他の国際NGOと連携し、使用が簡単な液体塩素(各100ミリリットル)を井戸水を利用する村の住民約60世帯に配布。
・衛生用品の配布も行った。シャンプー200リットル、歯ブラシ3519本、粉末洗濯用洗剤1.8トン、生理用ナプキン3万8856枚など。

 

4.女性支援 収入向上プログラム

バンダアチェの女性たちの中には、被災で夫や親を失った人が少なくない。そうした女性たちを含めて一般的に女性たちの間には、生活を再建するためには自分たちも働きたい意思が強くみられる。

PWJは被災した女性たちが少しでも生活を再建するための収入が得られる機会をつくるため、3月中旬より、バンダアチェ市内の女性10人に市内の被災した小学生へ送るための制服の製作を依頼し、PWJが買い取った。

製作・買い取りされた制服は、4月末までに、102人分(シャツ408枚、男児用ズボン116着、女児用スカート88着)。完成した制服は市内の小学校を通して子どもたちに支給した。女性の収入向上の一助となっただけでなく、津波で制服を失った子どもたちの通学を励ますことにもつながった。

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