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私たちの活動

【パレスチナ】職業訓練センター卒業生、ディマの挑戦

 
パレスチナのガザ地区は、美しい地中海に面し、眩い太陽の光が降り注ぐ、細長い土地です。そして、息の詰まる封鎖(※1)で長期間にわたり人や物の移動が制限されているところでもあります。
ディマは22歳の女性で、12人の大家族のひとりとしてガザ地区南部のラファで生まれ育ちました。2019年9月、彼女は、ラファにてピースウィンズ・ジャパンが支援するコミュニティ職業技術訓練センターを卒業し、今は写真スタジオで、デザイナー、フォトグラファー兼編集者として働いています。
 


私の家族は、1949年にアル・ファルージャからラファに逃れ、難民となりました。アル・ファルージャは今ではイスラエルの領内(一部)となっています。私には5人の兄弟と4人の姉妹がいますが、8歳の時に父が亡くなり、それからは母が小学校の教師として働きながら、一人で私たちを育ててくれました。残念ながら近くに頼れる親戚もなく、私たち家族はとても強い絆を築いてきました。

 
ディマはいくつも学校を変わり、グラフィックデザインの職業訓練に出会うまでは、自分の進路を決められずにいました。
 

高校卒業後は、ガザ市のアル・アクサ大学で国際秘書の勉強をしました。映画の演出の勉強をしたかったのですが、ガザでは学べる大学はありません。大学卒業後は、秘書として3か月働きましたが、やりたい仕事ではありませんでした。
まったくの偶然で職業訓練センターの訓練生募集の広告を見ました。定員100名に対して、300名以上が応募すると聞いたので、まさか私が合格するとは思っていませんでしたが、面接を通過し、合格することができました。
センターの授業は起業についての講義や企業でのインターンシップもあって、とても興味深いものでした。職業訓練として写真スタジオ「クラシック・スタジオ」でのインターンシップを始め、僅か1週間後に会社が職員を募集していると知りました。会社が採用を急いでいたうえに、私が仕事をこなすことができたので、私を採用してくれました! こうして私は2019年9月からこの会社で働いています。業務時間は長く、締切に追われてプレッシャーを感じますが、ここでの仕事が気に入っています。

 

センター在籍中から意欲をもって努力したことが、これまでのすべての経験をとても有意義なものとしてくれました。本当に全力を尽くしたおかげで、センターを優秀な成績で卒業できました。センターでの職業訓練がとても役立ったので、私の姉妹や友人にもセンターに応募して、私のように専門的な経験と技能を習得するよう勧めています。

 

 

幸運なことに私の家族は勉強を応援してくれていました。私が週末や休日も含めて長時間働くことに時々兄弟が心配しますが、私はこの仕事を続けることができています。これはガザ地区の半分以上の若者にとっては難しいことです。
今はまだ結婚を考えていません。まだ22歳ですから、人生の早い時期にそのような決定はできません。母が私の意思を尊重してくれて幸せです。
ガザ地区での私の将来を考えると、グラフィックデザインの技術を上達させながら、仕事の幅を広げていきたいです。人生は学びと発見の旅ですから。例えば、グラフィックデザインの専門の会社で私の経験を伸ばしたり、写真やデザインの会社を立ち上げたりしたいとも考えています。成功したら、私の人生について他の女の子たちに伝えたいです。

 
ディマは、他にも多くの興味と才能に満ちあふれていて、仕事の傍ら、文章を書くこと、スペイン語学習、ボイスオーバー(※2)にも情熱を注いでいます。
 

休みのときには、本を書くのが大好きです。既に初めての小説を出版しているんです。今は2番目の小説を書いているところで、近いうちに出版できることを願っています。いつか書店に並ぶかもしれません。題名は「スクラッチ(傷)」です。

 

 
※1 ガザ地区は2007年から封鎖されており、ガザ地区住民や物資に対する厳しい出入りの制限が続いています。
※2 原音の声を小さな音量で残しながら翻訳した音声を重ねること

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