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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2021.6.11

【バングラデシュ】祝いの日に誕生した新しい命。支える人々の思いと変化を起こす力。

バングラデシュ 海外人道支援

5月13日、イスラム教のラマダン(断食月)明けのイード(祝祭日)初日、日本のお正月にあたるハレの日に診療所で誕生したのは、元気な女の子でした。
新しい命の誕生を喜び健やかな成長を願う気持ちは世界のどこの国にいても同じです。赤ちゃんの両親も、診療所のスタッフも、イード・ベイビーを抱いてその誕生を喜びました。
 


生まれたばかりの赤ちゃんと診療所のスタッフ

 
世界最大規模と言われ、約88万人のミャンマー避難民が暮らす広大な難民キャンプのうち、約3万人が暮らすキャンプ14で、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、現地団体のダッカ・コミュニティ・ホスピタル・トラスト(DCHT)とともに、診療所を運営しています。
 


PWJとDCHTが運営する診療所

 
診療所を開設した2018年1月から、私たちは避難民キャンプと周辺ホストコミュニティが抱える保健医療分野の2つの課題に取り組んできました。1つ目の課題は、基礎的医療サービスへの不十分なアクセスと質の問題です。診療所設立前は、同キャンプ14内の保健医療施設はわずか1か所で、54,000人もの住民をカバーしていました。今では1日平均173人の患者を受け入れ、3年間で延べ7万人以上に必要な医療サービスを提供することができました。質の改善としては、診療内容のデータベース化、薬剤処方の適正化及び管理体制の向上に取り組んだ他、日本人の医師や助産師、現地の医療専門家から診療所スタッフへの研修などを実施しました。
 


医療専門家による講義を聞く診療所スタッフ

 
昨年は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、キャンプ内への出入りも制限され、従来のように日本から医療専門家を派遣することは残念ながらできませんでしたが、遠隔でのデータベース分析やオンライン研修に切り替えて実施するなど柔軟に対応しました。研修を受けた診療所スタッフからは、「外来患者のデータベース分析結果のフィードバックを得て、課題や改善点が明確になった。日々の活動にそれらを活かし、より良いサービスの提供につなげていきたい」といった声が聞かれました。
 


診療所で患者の診察をする医師

 
2つ目の課題は出産に関わる問題で、妊産婦に必要とされる健診の受診率や、分娩の施設利用割合が低いことです。これは、知識の不足だけでなく文化宗教的慣習にも関係しています。また、分娩介助サービスを提供する施設はキャンプ14内では当施設しかありませんが、丘陵地形や悪路によって診療所に来ることが困難な人たちも多くいます。このような医療施設へのアクセスの悪い地域では、医療チームからコミュニティに赴き健診や診療を行うアウトリーチプログラムを行ってきましたが、これも新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大人数を集めた集会が禁止されたため、昨年から家庭訪問に切り替え実施しました。訪問の際は診療所の助産師が同行し、地域保健ワーカーや伝統的産婆と連携して、簡易的な産前健診を実施しました。そして産前産後の健診やリスクがあるお産の際の施設利用の大切さ、安全に赤ちゃんを産むために必要なことなどについて啓発活動を行いました。
  


 

家庭訪問を通じた啓発活動

 
多くの家庭では、意思決定に男性の意見が影響を与えていることから、男性に対しても母子保健サービスの内容や、妊婦がそのサービスを受ける必要性等についても伝えていきました。少人数の男性を集めて定期的に行う啓発活動では、前後に確認テストを毎回実施して反応を伺うと、正答率が平均29.8%から79.7%に上がるなど、参加者の理解度の上昇を確認することができました。また複数回参加した人の中には、新規参加者に学んだ知識を教えたり、参加者同士が自身の経験や考えを共有したりする姿もありました。
 


男性啓発(写真は2019年実施時のもの)

 
これらの地道な活動が少しずつ人々の認識を変えてきて、現在、診療所では、毎月平均13人の新生児が誕生しています。新しい命が生まれると、見ている私たちの心までも暖かくなります。避難民キャンプやホストコミュニティでの活動は、課題も多いですが、そこに暮らす人々が一人でも多く、日常の中で、こうした暖かい気持ちになれる活動を、私たちは続けていきたいと思っています。
 

 
 

生まれたばかりの赤ちゃんの診療

 
本年2月に起きたミャンマーの政変により、避難民の帰還の目処は立っておらず、避難民生活はさらなる長期化が予想されます。それと同時に、避難民を受け入れてきたホストコミュニティへの負担が大きい状況が続いており、今後も避難民、ホストコミュニティ住民双方への支援が求められています。PWJは、引き続きこの地で暮らす人々が安心して健康的に日々を過ごせるよう尽力していきます。
 
※本事業はジャパン・プラットフォームからの助成金や個人・法人のみなさまからの寄付金により実施しています。

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