ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2019.5.21

【バングラデシュ】PWJ医師による現地ルポ2019年4月27日〜5月7日)

バングラデシュ 海外人道支援

今回で二回目のバングラデシュ渡航となります。PWJ医師の坂田です。

前回(2019年2月21日から3月9日)の渡航では、現地提携団体DCHT(ダッカコミュニティホスピタルトラスト)の経営陣と協議を重ね、難民キャンプの状況の変化(緊急期からの脱却)に合わせるかたちで、私たちが運営する診療所の運営方針を大幅に変更しました。
具体的には、診療モニタリングと診療状況データ化を目的としたデータベースの導入、キャンプ内診療所の設置が進んだことによる移動診療の終了、遠方から診療所に来ることが難しい母子を対象とした母子保健活動を主目的としたアウトリーチ・プログラムの導入です。
スタッフの人員配置や運営方式も大幅に変更されたため、うまく診療が行われているか、データはしっかりとれているかが懸念されました。今回の渡航で現場視察をしたところ、細かい点では改善の余地がありましたが、提案したことを予想以上にこなしてくれていて驚かされました。先日のWHO医師の訪問では当診療所の評価は非常に高く、有床診療所への格上げ打診されました。現実的には施設規模やスタッフ数などの問題により実現は非常に厳しいのですが、現地提携団体DCHTスタッフの献身的な活動が評価されたものだと思います。非常に熱意があるスタッフが揃ってくれていて、PWJと現地スタッフはよい信頼関係を築けていると思います。

さて、今回の滞在最終日にスライドを使用して現地スタッフにプレゼンテーションを行う機会がありました。以前は、自分たちの診療所がどのような診療を行っているのかを客観的に示す指標がなかったのですが、データベースを導入したことでわかってきたことがあります。スタッフと共有した内容の一部を紹介したいと思います。
 

4月の総患者数 4,900名 (産前検診660名)
対象患者 90%がロヒンギャ難民、10%がホストコミュニティ(キャンプ外に住むバングラデシュ人)
性別 68%が女性、32%が男性
年齢 15歳以下の患者が33%
疾患(患者数) 高熱(749)、 胃腸疾患(643)、 感冒(591), 筋骨格系(406), 皮膚疾患(326)、慢性下痢(189)、倦怠感(187)、呼吸器感染(163)、血性下痢(133)

 
このような状況を踏まえて、個別ミーティングを現地提携団体医師とスタッフで行い、モンスーン(6月~10月)を控えた今、啓発活動で下痢対策を重視しようという方針となりました。キャンプ内の居住ブロック別の下痢頻度もわかってきています。やはり、人口が密集し、汚水処理が不十分なブロックで下痢が多い傾向にあるようです。

その他にも、今回は現地で働く他NGO団体が運営するクリニックや現地の中核病院を訪問する機会がありました。限られた医療資源の中でどこのクリニックも、処方薬剤の管理、現地医師との診療方針のすり合わせ、データ管理など同じような課題に直面し対応を講じており、よい意見交換ができました。また、提携団体DCHT医師と共にWHO主催のヘルスセクターミーティングにも参加し、キャンプ全体の現状を学ぶ機会がありました。私自身、徐々にではありますが、100万人に到達する難民キャンプ内の構造がみえてきた印象があります。横の繋がりができ医療従事者間の情報交換ができたことは今回の渡航で非常に大きな収穫となりました。

まだまだ医師としてやるべき課題は多いです。診療やアウトリーチ・プログラムの質の向上、薬剤モニタリング、耐性菌問題、産前産後検診の啓蒙、家族計画、栄養失調児の健診、寄生虫感染など課題は山積みです。そんな中、他地域のキャンプでは寄付金、政府基金の不足から診療所を閉めざるを得ない団体がでてきています。しかしまだまだ生活が自立できていない難民の方々へのサポートは必要です。PWJスタッフ一同可能な限り支援を継続していきたいと思っています。

今回は一年で最も暑い時期でした。気温は39度。診療所からキャンプ内の一番遠いアウトリーチ・プログラム実施場所は徒歩で30分弱かかります。熱中症になりかけました。坂道も多く、妊産婦が診療所までいくには過酷な道のりです。少しずつですがキャンプ内の道の舗装が進んでいます。

 

ホストコミュニティ(キャンプ外のバングラデシュ人居住地域)でのアウトリーチ・プログラム。先住民族のチャクマ族が居住する地域にも隔週で啓発活動に向かいます。産前検診と、子供の身長・体重・MUAC(上腕周囲径)を記録し、栄養失調の子どもがいないかどうか確認をしています。

コックス・バザールからキャンプまでは片道2時間弱の道のり。現地提携団体スタッフの皆様と一緒に撮影。お互いに名前も顔も一致してきました。皆さん、働き者で個性豊かです。一緒に昼食をとっていると日本語とベンガル語の勉強会になります。

 

データベース導入当時、人差し指でタイプしていたデータ入力担当のミトゥは、今では患者1人のデータを10秒足らずで入力します。今でも電気の供給が不安定なキャンプなので、こまめにデータ保存を行っていました。

 

2019年5月7日 バングラデシュ事業担当医師 坂田 大三
 
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