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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2007.9.19

児島淳のピースウォーターレポートVol.7サリプルの天水域農業を考える(下)〜天水域農業の課題と調査の重要性

アフガニスタン 海外人道支援

前回のレポート「サリプルの天水域農業を考える(下)」がアフガニスタン・サリプルの天水域農業の一例です。幾つかの問題点が概観できると思います。

その問題点とはすなわち、
㈰農作物栽培のための表面流回収手法はサリプルのような地方では存在しない。
㈪年々の降水量の変動に大きく翻弄されてしまう農業形態である。
㈫土地利用問題に代表される地元住民の有する慣習が農業と密接に関係している。
です。
㈰と㈪に関しては、安定的な農業用水を確保できるような工夫はどの程度可能であろうかを調べる必要性を示しています。表面を流れる水の貯留の仕方については、このレポートの1回目に紹介した伝統的方法のほかにも、すでに世界各地の乾燥域でたくさんの方法が提案されています。㈰での最大の課題は、どのような方法ならどの程度水を貯留できるのか、という点です。降水形態や土壌特性など多くの因子が関わる物理現象です。また㈫は、その工夫を現実の村々に落としこんでいくにはどうしたらいいかを模索する必要性を示しています。
これから真にアフガニスタンが復興してゆくために欠かせない農業。その農業のなかで重要な位置を占める天水域。広大で貧困に苦しむ人々が多く住む天水域。この天水域を、如何に持続的な食糧生産域にするか。これに答えるためには、㈰〜㈫を総合的にそして広域で考えていかねばならないことは自明でありましょう。広域で考えるためには、㈰や㈪について複雑な物理現象を解くために衛星データやコンピュータなど文明の利器を用いた作業も必要でしょうし、一方では、現地の農業について教えを請い、慣習について幾つもの村で何度も何度も話し合って信頼関係を構築しながら掘り下げてゆくような、地べたを走り回るような作業も必要です。この2つを融合させるプロセスのなかで、より実際的な支援のかたちを住民の皆さんと知恵を絞って探してゆく。一見時間はかかる方法だが実は最短の方法であるように私には思えます。反対に、このプロセスを省略した場合、何か起こるでしょうか。現地の人々の死活を左右する水と土地に関わるのですから、影響の大きさは推して知るべしでしょう。
PWJでは現在、水資源調査を通して地表面流を効率よく集めるための方法を模索しています。そのためには、どうしても、基本的な気象や水の動きに関する調査、そして、伝統的な土地利用制度などに関する知見が必要なのです。住民や長老会、現地の専門家らとともにじっくりと話し合い、“村人が真に欲しているのはどのような方法なのか、それは持続できるものなのか、伝統的な習慣と対立するものではないか”などについて議論をしていくことも必要です。個人的な意見ではありますが、この“じっくり”というスタンスを取れるアクターはNGOだと考えています。

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水くみに向かう少年とPWJ児島
(C)PWJ

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