ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2007.8.15

児島淳のピースウォーターレポートVol.5天水域農業を可能にするために(下)

アフガニスタン 海外人道支援

前回に続き、天水域農業が頼みの綱とする降水量について、今回は気候変動の影響について紹介します。近年問題になっている二酸化炭素濃度(CO2)の上昇に起因する地球温暖化に関する研究では、“大気CO2 濃度が上昇すると、降水域は減少するが、降水強度は増加する”、と予測しているものが多々あります。つまり、年間の降水量の合計は減るけれども、その雨/雪の降り方は、短い期間にドバッと降ってしまうようになる、という予測であります。 

この予測シナリオを、これまでの降水形態と比較して表すと模式図1,2のようになります。
アフガニスタン降水模式図
すなわち、これまでは、弱い雨が長い時間をかけて降っていたものが(模式図1)、 これからは、強い雨が短い時間の間に降るようになり、しかも年間で合計した雨量は小さくなる(模式図2)という予測です。
気候変動の予測シナリオを、アフガニスタン北部という限定された場所に安易にあてはめて考えることは科学的ではないかもしれません。しかし、確かに現地で観測していると、対流性降雨を見かける頻度が高くなっているように思われます。
たとえば、2005年の6月10日には、サリプル天水域で1時間13.8mmという、強い雨を観測しました。そのときは、天水域の牧童が洪水で流されてなくなってしまいました。また別の豪雨に日には、天水域内を車で移動中であった我々は、村を襲う鉄砲水に出くわしました。鉄砲水は何度かのピークに分かれて村々の道を流れ下っていました。巻き込まれないようにスピードを上げて10分ほど天水域内を横切り、なんとか安全なところまで逃げ切りました。

%8E%CA%90%5E%82P.jpg
強い雨直後の天水域の風景
(C)Peace Winds Japan

上の写真は、同じように逃げてきた地元民がたむろしている様子を写したものです(奥に見える丘陵域が、我々が逃げてきた鉄砲水地帯です)。この写真撮影の数分後に写真中央遠方の道に、鉄砲水が現れたのでした。このときの雨について、後で現地の長老たちに訊くと、「こんな雨はこの40年間見たことがない」という答えが返ってきました。現地住民の実感としても、降水形態は変貌しているのです。
降水強度の増加傾向は、ありうべき一つのシナリオとして、考えておかなくてはならないでしょう。 このシナリオが正しければ、一気に降る降水を回収する方法を考えなくてはなりません。 また、降水強度が上がることによる影響として考えられるのは、浸食されやすい土壌で構成されている天水域の土壌侵食の問題です。植生導入による土壌表面保護についても対応が求められてくるでしょう。気候変動の影響下のアフガニスタン天水域。テロやタリバンの問題で隠れてしまいがちですが、アフガニスタンの天水域への対策は、いますぐ手をつけていかねばならない深刻な問題なのです。
■すべての人に水を
 ピースウォーターキャンペーンに、あなたも参加してください
 くわしくはこちらから

一覧へ戻る

ご支援・寄付のお願い

寄付控除について