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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2007.6.22

雨に恵まれ豊作になったときに働く動物

アフガニスタン 海外人道支援

前回に引き続き、「閑話休題」的に、現地の表情についてのレポートです。今回は収穫期によく働く動物たち、とくにラクダの働きぶりをご紹介します。といってもこうした様子が見られるのは雨が十分に降り豊作になった年だけで、雨が少なく収穫もない厳しい年にはこのような光景はみられません。

日本でもどこでも、人びととともに働く動物たちの表情はどれも豊かだというのが、私(児島)の意見ですが、それはここアフガニスタン北部にも当てはまると思います。現地で人びととともに働くのは次のような動物たちです。
・狼にも負けない牧羊犬:
一度、草原で襲われたことがあり、食い殺されるかと思いました。幸い、飼い主の牧童が現れ、こぶし大の石をその犬に投げつけて追い払ってくれました。そう、飼い主が扱いに困るほどでなくては狼には勝てません。
・ロバ:
私のスタッフは「アフガニスタンで最も働き者なのはロバだ」といいます。
・馬:
サリプルの村々では、重要な働き手であり、冬にはブスカシという競技に活躍する仲間です。水文調査(水資源調査)では山行の相棒として欠かせません。
・牛:
畑の耕起、麦の脱穀などの力仕事に大活躍です。
・ラクダ(駱駝):
大きな身体を生かしての荷物運搬が主な仕事ですが、“闘駱駝”の主役でもあります。
雨が十分に降り豊作となった年であれば、収穫期、彼らは大忙しです。2003年や2005年は実りの良い年でしたので、秋には麦を大量に積んだラクダをよく見かけました。写真に示すような荷物の積み方は序の口です。

こちらは薪を“満載”したラクダ(2003年)

こちらは薪を“満載”したラクダ(2003年)
(C)PWJ/Atsushi KOJIMA

2003年の秋のある日、私が天水域(雨水に生活を頼っている地域)にある丘陵域を移動していると、ある壮年の村人が、この写真のゆうに3倍はある麦の束を、ロープで結び合わせながらラクダの背に積み上げていました。私は「これはいくらなんでも積みすぎだなあ」と思いながら見ておりましたが、ラクダ自身も確かに「絶対無理だと思う」という表情でした。さて、果たせるかな、数分後その村人が仕上げにロープをきつく締め上げようとした途端、荷が解けて、大量の麦束が崩れ落ちてしまいました。そのときラクダは、たしかに、自分の両側に落ちた麦をかすかに一瞥(いちべつ)したのでした。その表情は、まちがいなく、「ほら。だからダメだと言ったのだ、俺は最初からわかっていた」という諦観(ていかん)を表していました。豊作の年の、のどかな夕暮れの光景です。

「俺はわかってるぜ」といいたげ?なラクダ(2003年)

「俺はわかってるぜ」といいたげ?なラクダ(2003年)
(C)PWJ/Atsushi KOJIMA

以上はきわめて主観的な観察であるわけですが、主観的ついでに述べますと、その年のサリプルでは、“豊作”という疑いようのない吉事が、明るい秋の夕方の麦畑や、そこで働く人びと、天水域の隅々にまで、充満しているように感じられました。NGOスタッフなどの客人を厚遇するならわしは、不作の年にもなくなることはありませんが、実りが少なければどうしても暗然とした気分は隠せません。この豊作年の秋には、干ばつの年や不作の年にはみえにくくなってしまう、アフガニスタンの農村の本質である醇厚さ(じゅんこうさ)があふれていました。
雨の潤沢に降った年に天水域で目にしたこんな微笑ましい光景を、もっと頻繁に見ることができたら。それが私の仕事の大きな目標になっています。

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