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海外人道支援

Overseas

2007.4.26

児島淳のピースウォーターレポート Vol.1水不足と洪水が頻発する「天水域」

アフガニスタン 海外人道支援

アフガニスタンは近年、深刻な水不足と干ばつに襲われています。もともと乾燥域や半乾燥域と分類される雨量の少ない地域に位置していますが、近年は干ばつが頻繁に発生しています。そうした状況のなかで住民たちが生活を営むには、どうしたらいいのでしょうか。これから何回かのレポートを通じて考えていきたいと思います。

アフガニスタンには、国の北東部や中心部の高い山々を水源域とする河川がいくつかあり、その河川沿いに都市や町、村があります。河川沿いにはもちろん、河川の水を利用した灌漑地帯が存在しています。しかし、河川沿いばかりではなく、「天水域」と呼ばれる河川の存在しない場所でも人びとが生活を営んでいます。主な生活の手段は農業で、雨期に降る雨・雪だけに依存しているため「天水農業」と呼ばれています。

天水域の村(サリプル州ベランゴール村)天水域の村(サリプル州ベランゴール村)

天水域の村(サリプル州ベランゴール村)
(C)PWJ

しかし、これはまさに天任せの農業であります。幸運にも雨の量がある程度あった年には、天水域の小麦の生産量はアフガニスタン全体の生産量の30%にもなります。しかし雨量の少ないアフガニスタンですから、天水農業は常に水不足と隣り合わせであり、干ばつになれば実りもなくなって生活を続けることは困難となります。
天水域での人びとの生活は非常に厳しいものであります。「井戸をたくさん掘ればいいのでは?」という考え方もありますが、天水域のなかでもとくに水環境の厳しいところでは、井戸が枯れ上がったり、非常に苦くて使用に適さない水だったりで、地下水は当てになりません。人びとは、「カンダ」と呼ばれる地下の貯水槽や、ため池を作って雨期の雨・雪を貯め、それを乾期の生活用水として使っています。しかし、雨量が不十分な年はカンダに水が十分たまらず、乾期の途中に水は干上がってしまい、何時間もかけて川の水や湧き水をくみに行かなくてはならなくなります。もっとひどい状況になるとついには国内避難民となって村を放棄せざるを得なくなります。アフガニスタン政府の報告では、天水域住民の65%が貧困層に属しています。

降水後すぐに発生する流れ降水前の川の様子

降水後すぐに発生する流れ(左)と降水前の様子
(C)PWJ

こんな状況の一方で、毎年雨期になるとアフガニスタン各地で洪水が報告されます。もちろん天水域でもあちこちで発生しており、多くの犠牲を出しています。洪水と干ばつ、まったく相反する状況が起きているわけです。洪水が発生した同じ年に干ばつが起こることも珍しくありません。いったいなぜなのでしょうか? 一番大きな理由は、天水域の土壌が水を保持しておく能力に乏しいためです。そのため、雨期にまとまった降水があったとしても、下流に流れ下る以外ないわけです。せっかく降った水ですが、それは洪水となって下流に流れてしまいます。

洪水への注意を呼びかけるポスター

洪水への注意を呼びかけるポスター

こんな厳しい自然環境の中で暮らすアフガニスタンの人びと。長い目で堅実な生活を営むためにはどうしたらいいと思いますか。
(次回へつづく)

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現地で調査中の児島淳(右)

PWJアフガニスタン駐在スタッフ。大学院で、自然界での水の循環を研究する「水文学」を学んだ後、2000年にPWJスタッフに。インド西部地震被災者緊急支援、シエラレオネ駐在を経て、2003年3月にアフガニスタンへ赴任。専門の水文学の知識を生かして、水調査事業を続けている。

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