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スリランカの現地活動ルポ

スリランカの現地活動ルポ

【スリランカ】再定住地域へ戻ってきた人々の井戸修復を支援

2016.1.21

2015年に発足したスリランカ新政権の再定住支援政策の一環として、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が活動する東部州トリンコマレ県でも、同年8月、長年立ち入り禁止となっていたムトゥール郡サンプール地区が解放されました。

同地区は内戦中の2006年以降にスリランカ軍の基地や経済特区として使用され、元の住民は退去を余儀なくされました。約10年の長い年月を経てようやく、避難民キャンプで仮の生活を強いられてきた人々の帰還が始まりました。しかしながら、元々の家屋や建物は取り壊され、解放後の土地は瓦礫すらない更地と化しており、人々がすぐに生活を始められる状況ではありませんでした。

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写真左:返還された土地は区画整備のみがなされていた(2015年9月撮影)
同右:ヤシの葉を使用した簡易的な住居に再定住する住民たち(同上)

そこで、PWJは早速、現地政府や再定住をした人々への聞き取りを開始し、その中でニーズの高かった井戸の修復を支援することを決めました。昨年10月に井戸の状況を確認した際には、埋まっていた井戸を住民が掘り起し、地面に穴が開いた状態となっていました。この井戸は生活・農業用水として使用するとのことでしたが、衛生、安全面から修復がすぐに必要なことが分かりました。特に11月から始まる雨期に入ると、地表からの雨水が流れ込んで水質汚染が起き、感染症の発症リスクが高まるのに加え、幼い子どもや高齢者が誤って井戸に落ちる危険性もありました。

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       井戸の状況を確認するPWJスタッフ(井戸は地面に穴が開いているような状態)

PWJは昨年11月から、地元の組合と連携し、緊急性の高い世帯を優先して井桁(井戸の地表部分)の修復を順次行い、1月末までに計63基の井戸修復を完了する予定です。支援を受けたサンプール・ウェスト地区のアルムガンさん夫妻は、修復が完了した時の心境を次のように語ってくれました。

「キャンプ生活を終えてようやく自分の家があった土地に辿り着いた時、家やトイレに加えて井戸も全く使えない状況だったので、どうしようかと悩んでいました。井戸が修復した今、衣類の洗濯や飲料水としても井戸水を使っています。将来は庭に豆類や香辛料、バナナなども植えたいので、その際は家庭菜園にも使っていきます。修復してくれたことをとても感謝しています」

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           写真左:完成した井戸、同右:孫とともに並ぶアルムガンさん夫妻

現在、サンプール地区を訪れると、家庭菜園を始めた家も増え、だだっ広く土の色だけだった場所に緑が増え、子どもたちの元気な声が聞こえてきます。再定住後に家畜を連れ戻した人々の中には、搾乳した牛乳を私たちが支援する同郡の牛乳集荷所兼直売所に届け、現金収入を得る人もいます。

人々が失われた生活基盤を再建することは容易いことではありませんが、PWJは安心して生活できる環境づくりを今後もサポートしていきます。同地域では今年、さらに500世帯以上の再定住者を見込んでおり、井戸修復のニーズは依然あると思われます。引き続き、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

報告:内藤みわ(スリランカ駐在)

*本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。

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