ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人びとに対して海外国内問わず支援活動を行うNGOです。

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ニジェールの現地活動ルポ

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【ニジェール食糧危機】支援がもたらしたインパクト(その2)

2012.11.22

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、ニジェール フィレンゲ郡において、土地整備の作業に地域の人びとを参加させ、その労賃を支払うことで、食糧危機状況からの脱却を目指す「キャッシュ・フォー・ワーク事業」を実施しています。

支援が人びとの暮らしに、どのような変化をもたらしたかをお伝えする続編です。

 

▼前回の記事

【ニジェール食糧危機】支援がもたらしたインパクト(その1)

 

今回の現場訪問の目的は、人びとが受け取ったお金で手に入れたものを、実際にこの目で確かめることでした。
当初、私が頭に思い浮かべていたのは、家の片隅に置かれた穀物の袋や調味料などでした。

ところが、イチギン村のイドリサさんがその日に手に入れたのは、意外なものでした。PWJの支援で得た労賃を貯め、村の市場で、なんと子羊を買ったそうです!

その子羊を見せてくれるというので、村のメインの道路に近い彼の家まで徒歩で向かいました。

 

www.peace-winds.org

 

イドリサさんは58歳です。農業と牧畜を営んでおり、家族は9人。
作業に参加する前は、まだ収穫が始まっておらず、食料の確保は大変でした。タバスキ(イスラム教の犠牲祭)のお祝いをしようにも、食料や衣服を買うお金が足りなかったそうです。

PWJの支援を通して、彼の家族の暮らしがどう変わったか、イドリサさんはこう話します。
「今では1日3回食べられるようになり、調味料や、タバスキ前には子どもたちの服、そしてこの小さい羊も買えました。次のタバスキまでに大きく育てて、市場で売ってお金を得るつもりです。」

 

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また、この支援の後については「教えてもらった通り苗木を植えるなど、整備した土地を、村の人たち全員で力を合わせて管理していったら、これからもみんなの役に立つように活かしていけると思う」と意気込みを語ってくれました。

一方、他の村では、「ATACCA (この支援のフランス語略称)のおかげで、今年は市場での穀物の値段が去年みたいに下がらなくてよかった」という話を聞きました。これは、いったいどういうことでしょう。

 

 

 

 

消費者であれば、食料が安く買えたらと考えますが、多くの村人は、穀物を生産し、それを高く売りたいと願う生産者なのです。しかし、去年までは、収穫前に十分なお金がなく、借金をする人も多かったため、収穫後すぐに誰もが作物を売り払った結果、穀物の値段が暴落したのだそうです。

それに比べて今年は、PWJの支援に参加して現金が手に入った人びとは、収穫直後に急いで売らなくても済んだため、去年のような価格の暴落は起きていません。現金に余裕が生まれたので、時期を選んで作物を売ることができるようになったのです。

また、作業に参加した多くの村人が、支援を通して受け取ったお金で買い物することで、地元の経済にも貢献している、と市場で商売をしている人たちも語っています。

さて、最後にタラキア村の村長アマドゥさんの話を紹介します。彼の世帯は、村から選ばれた支援対象に入っていませんが、今回の支援には、直接の受益世帯だけでなく、村全体にとっても大きな意義があるといいます。
それは、村人が高台で行った土地整備作業によって、水害を防ぐ効果が期待できるということです。今までは、さら地の高台に雨が降ると、そこからまるで鉄砲水のように雨水が斜面を流れ落ち、急激な水の流れによって、高台のすぐ下にある彼の畑や、家の建物が被害を受けることがたびたびありました。

 

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この支援では、約500人の参加者が30日間かけて、高台の上の80ヘクタール以上の範囲に、 フランス語で「Demi-lune」と呼ばれる半月型の溝を作りました。その数は合計で2万以上になります。この溝ができたことで、雨水の流れが緩やかになるのです。

傾斜がより大きい他の高台では「Banquette」という、さらに大きい溝を掘ることで、そこに雨水が貯まるようになります。

風などで運ばれる種子が、これらの溝にたまって雨季の後に発芽し、やがて緑に恵まれた大地となることを目指して行なってきたこの作業に、土地の保水力を高めるだけでなく、そうした水害を防ぐ効果もあるとは、アマドゥさんの話を聞くまで思っていませんでした。

 

 

 

www-1.peace-winds.org

 

 

 

 

 

 

 

このように、地域の多くの人びとに大きな成果をもたらすことができた支援は、まもなく終了します。
今年の豊作で、食糧危機は一段落するものと見込まれていますが、今までもたびたび現地を襲った干ばつや、サバクバッタの被害は、これからもニジェールの人びとの暮らしを脅かすことが懸念されます。
今回整備した土地を有効に活用していくことで、彼らが来るべき危機に備える力を蓄えてくれるように心から祈っています。
報告:齋藤雅治(事業部)
本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や寄付金により実施しています。

 

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