ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人びとに対して海外国内問わず支援活動を行うNGOです。

特定非営利活動法人(認定NPO)ピースウィンズ・ジャパン
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イラクの現地活動ルポ

イラクの現地活動ルポ

【イラク】シェルター建設支援で避難生活を改善

2017.4.11

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は昨年5月以降、国内避難民やシリア難民であふれるイラク北部で、避難生活の支えとなるシェルターを建設する支援活動を続けてきました。マイナス10℃前後にもなる厳しい寒さや風雨をしのぎ、安全やプライバシーが確保されていないような劣悪な避難生活の環境を改善することが目的です。

UNHCRなどの資料によると、イラク北部には「イスラム国」やシリア内戦の影響で、約113万人にのぼる国内避難民や難民が押し寄せています。その中には突然日常を追われ、着の身着のままで逃げてきたため、建設途中で放置された廃墟やビニールシートで作ったテントなどで生活している人々も少なくありません。

建設途中で放置された廃墟に住み着く難民たち=2014年8月10日、イラク北部ドホーク州

建設途中で放置された廃墟に住み着く難民たち=2014年8月10日、イラク北部ドホーク州

一方で、キャンプ内であっても安全な住居が確保されているとは限りません。実際、土の上に張られただけのテントや老朽化した簡易住居しかないキャンプもあります。そうした住まいでは冬の過酷な寒さは耐えがたく、雨が降れば室内に土砂が流れ込んできます。衛生的にも「安全」とはかけ離れた環境です。このように、まだ支援が行き届いていないキャンプがあるのも実情です。

PWJは昨年8~9月、イラク北部ドホーク州のマムラシャン国内避難民キャンプで100戸のプレハブシェルターを設置しました。当時あふれていた国内避難民は全員入居することができました。プレハブシェルターには2部屋と小部屋があり、家族が多くてもゆったりと団らんできるスペースが確保されています。親戚と避難している世帯も多いため、キャンプでは住環境の狭さが問題になりがちですが、その点についても考慮されています。壁などでプライバシーも守られており、頑丈で暑さや寒さにも強いつくりになっています。

新設したシェルター

新設したシェルター

入居から約3か月後の昨年12月、入居100世帯のうち50世帯に聞き取り調査を行いました。その結果、シェルターに住む以前は32世帯が廃墟、18世帯がテントで生活していた実態が浮き彫りなりました。しかしPWJのシェルターに入居後は、安心して暮らせているという声を聞くことができました。

インタビューをするPWJのスタッフ

インタビューをするPWJのスタッフ

カウェさん(60)は2014年8月3日朝、「イスラム国」が当時住んでいた村まで攻めてきていると聞き、家族たち総勢11人で近くの村へ避難しました。山中や廃墟に逃げ隠れしながらたどり着いたのが、ある国内避難民キャンプ。ところが、そのキャンプでは土の上にそのまま張っただけのテントで、土砂や爬虫類が簡単に入り込み、安心できる環境とはとても言えるものではありませんでした。こうした状況に耐え兼ねたカウェさん一家は、PWJが支援するマムラシャンのキャンプに移ってきたのです。カウェさんは「避難生活を始めてから安心できたことは一度もありませんでした。最初に避難したキャンプでは食べ物は配られましたが、このマムラシャン国内避難民キャンプに来てようやく、私たち家族にとって、安心して住める場所があるのだと感じることができました」と話してくれました。

インタビューに応じるカウェさん

インタビューに応じるカウェさん

家族3人で避難している女性(32)も「イスラム国」から逃れるため、夫と足の不自由な息子とマムラシャン国内避難民キャンプにやってきました。現在はキャンプ内で生まれた娘も加わり、家族4人で暮らしています。「ここでシェルターに住むことができて、心地よく安心して暮らせています。守られていると感じられ、とてもありがたく嬉しいです。もし、あなたたち(PWJ)がこのような素晴らしいシェルターを与えてくれなかったら、家族全員で今この時を過ごせることはできなかったでしょう」

日本と同じように、イラクにももうすぐ春が訪れます。PWJは現在、難民や国内避難民を受け入れているクルド人の地域を対象に、教育や物資配布といった支援を実施しています。避難していた人々が少しでも安心して季節を迎えられるよう、活動を続けていきます。引き続き、みなさまからの温かいご支援を宜しくお願い致します。

PWJが支援したシェルターで暮らす子どもたち

PWJが支援したシェルターで暮らす子どもたち

本事業は、ジャパンプラットフォームからの助成金とみなさまからのご支援で実施しています。

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