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イラクの現地活動ルポ

イラクの現地活動ルポ

【イラク】シリア難民キャンプのシェルターの改善を支援

2016.10.15

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、イラク北部で避難生活を送るシリア難民に対し、2012年11月から、教育、保健、水・衛生、シェルター、生活物資配布などの分野で支援活動を行っています。

2016年5月からは、イラク北部ドホーク州にあるドミズ2難民キャンプでテント生活を送るシリア難民を対象としたシェルター改善事業を行っています。本事業では、シェルターを改善するための資材の配布と技術的なアドバイスの提供を行うほか、シェルター改善作業に従事する建設作業員に労賃を提供し、シリア難民の住環境の改善することをめざしています。支援対象となるシリア難民については、家族構成や収入の状況、障がいや病気を持った家族の有無などを考慮し、選定しています。

本事業ではまず、PWJと同キャンプのキャンプマネジメントから支援対象家族に対しシェルターの改善手順を説明し、質疑応答を行うオリエンテーションを行うとともに、シェルター改善についてアラビア語で書かれた資料も配布しました。

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オリエンテーションを行うPWJ現地スタッフ(左から2人目)

シェルター改善作業に従事する建設作業員は、基本的に同キャンプに住む難民から雇用します。選ばれた建設作業員にとっては収入機会を得ることができるだけでなく、建設の技術を身につけ、将来の就職に活かすこともできます。

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写真上段左:支援対象の家族と建設作業員が一緒に働く様子、同右:建設作業員に手順を説明するPWJ現地スタッフ(左から2番目)、同下:建設作業員として雇用された難民に労賃を支払うPWJ現地スタッフ(左)

改善作業は最大で6日間かかるため、難民の家族は改善作業が終わるまでの間、一時的にテントで生活するか、親戚の住むシェルターに身を寄せています。彼らが早く自宅に戻れるよう、迅速に改善作業が行われることが重要であるため、PWJはキャンプマネジメントと協力し、出来る限り早く改善作業が終わるように取り組んでいます。

本事業を現場で監督するPWJ現地スタッフは、「改善作業は順調に進んでいます。予定よりも早く進んでいて、だいたい3日以内に改善作業が完了しているのを見て驚いています。建設作業員として働く難民たちは本当に協力的で、資材が届くとすぐに作業を始めます。今のところ改善過程で遅れがでているという報告は受けたことがありません。また、どの家族も改善されたシェルターをとても喜んでくれています」と話しています。

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             写真左:改善前のシェルターの状況、同右:完成したシェルター

本事業で改善されたシェルターは、コンクリート製の頑丈な壁によりプライバシーが確保されているだけでなく、寝室を1部屋ではなく2部屋に分けることによって、屋内の環境がより過ごしやすくなるような配慮がされています。これは、部屋の広さを小さくすることで、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができるようにするための工夫です。シェルターの基本的なデザインはこのようになっていますが、配布された資材の出来る範囲で、それぞれの家族が好みによって部屋のレイアウトを変更できるなど、支援対象の家族がより心地よく暮らせるようになっています。

本事業全体を監督するPWJ国際スタッフは「同キャンプのコミュニティは意欲的にシェルター改善作業に参加しています。支援対象の家族が安全で心地良い住居に暮らせるよう、その家族のほか、親戚、キャンプマネジメントのスタッフ、そして建設作業員も努力と時間を惜しまずに働いています」と話しています。

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完成したシェルターに住む難民家族とPWJ現地スタッフ(左から2番目)

4人の子どもと暮らすハーリヤ・ヨーシフさん(32歳)
「冬に嵐が来ると、子どもたちは雷の音を聞くたびにダマスカスにいたときに近くで爆撃があったことを思い出し、すごく怖がっていました。夏はテント内の気温が高温になるため、立っていられないほどでした。特に電気がないときは、テントの外に出て日陰で休むのですが、それでも日差しは強く、肌が痛くなるほど焼けます。また、テント内で火事が発生したらと心配でなりませんでした。ですが、(シェルターが改善された)今は子どもたちが十分に遊べるスペースがあり、それぞれ自分の部屋でよく眠れるようになりました。また、室内が涼しいおかげで、外に出ることはめったになくなりました。もし火事が起こっても、テントにいたときと違ってすべてを失うことはないので、親としても、安心して過ごすことができています」

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ハーリヤさん(左端)とポリオを患っている夫(中央)と子どもたち

改善されたシェルターに住むムハンマド・ラドワン君(15歳)
「今は以前と比べてすごく安全です。以前住んでいたイラク
テントは、外から昆虫や小動物が入ってきやすく、これまでに2度もテント内に入ってきた蛇を殺しました。シェルター改善後はその心配はなく、室内は涼しくて十分な居住スペースがあり、家族みんな嬉しく思っています」(写真:シェルターの入り口で話すムハンマド君。がん患者の父と、母、3人の姉妹と暮らす。自身も血友病を患っている)

シェルターの改善により構造的にもしっかりとした住居に住むことによって、雨風や暑さ、寒さなど過酷な気候から守られるとともに、犯罪に巻き込まれる心配が和らぎ、人びとは安心して暮らすことができます。これからやってくる雨季と過酷な冬を乗り越えられるよう、PWJではシェルター改善事業を継続し、シリア難民のさらなる生活の質の向上のために活動していきます。引き続き、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願い致します。

※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金やみなさまからのご寄付により実施しています。

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