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イラクの現地活動ルポ

イラクの現地活動ルポ

【イラク】国内避難民の仮設住宅団地インフラ整備を実施

2016.7.13

シリア内戦の長期化に伴い、イラクでは約25万人のシリア難民を受け入れているのみならず、イラク国内における戦闘から約330万人が避難し、そのうち、約95万人のイラク国内避難民がイラク北部のクルド人自治区において避難生活を余儀なくされています。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、シリア難民およびイラク国内避難民の避難生活の質を向上するため、生活物資配布、キャンプ整備、水・衛生、保健、教育の分野において支援活動を継続しています。

PWJは2015年12月から2016年7月上旬にかけて、国際連合人間居住計画(UNHABITAT)の事業実施パートナーとして、イラク北部ドホーク州ザホ郡ダルカル・アジャム村において、国内避難民向けの仮設住宅団地のインフラ整備(整地工事、道路建設、井戸・水タンク設置、上水道敷設、下水道敷設、電気網整備)と仮設住宅800棟のうち37棟の建設を行いました。

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仮設住宅団地でPWJが整備した道路や電気網

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PWJが整備した電気網について現地スタッフと最終確認するPWJスタッフ(写真右)

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写真左:仮設住宅の室内の様子、同右:仮設住宅のトイレ・シャワー室

5月9日に行われた仮設住宅団地の開所式には、岩井文男在イラク日本大使がアイサ・キラボUNHABITAT事務次長兼国連事務次長補とドホーク州知事ファルハッド・アトルシ氏と共に出席されました。

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在イラク日本大使、UNHABITAT事務次長、ドホーク州知事らによるテープカット

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UNHABITAT関係者らとPWJイラク現地事業代表(上段左から4番目)

仮設住宅団地は、ザホ郡に居住する国内避難民の中でも、建設途中の建物など過酷な状況での避難生活を余儀なくされてきた国内避難民を対象とした団地となっています。仮設住宅のほかに、生活に必要な基礎インフラに加え、女性用のクリニックなども備わっています。現在726世帯(4,081名)が居住しており、大多数が2014年8月上旬の「イスラム国」による奇襲攻撃を受けたイラク北部のシンジャール地方出身です。仮設住宅は1世帯に1棟が割り当てられるのですが、シンジャール地方出身の国内避難民は3世代からなる大家族が多いため、互いに訪問し、助け合えるよう、隣り合わせで入居できるような配慮もされています。

団地ではプライバシーも守られ、水・衛生環境なども整い、道路も整備されて秩序だっているので、これまで劣悪な環境での避難生活を余儀なくされてきた国内避難民の人たちは、団地への移転を心から喜んでおり、日本をはじめUNHABITAT、PWJなど仮設住宅団地整備に携わった援助関係者へ感謝の意を表していました。

~仮設住宅で暮らす国内避難民の声~

【アリアさん(14才)】
2014年8月上旬、奇襲攻撃を受けたシンジャール地方から逃れてドホーク州ザホ郡にたどり着いたアリアさん家族。こちらの団地に移る前は、ザホ郡にある建設途中の建物で避難生活を送っていたそうです。アリアさんの祖母・ターレさん(60才)は、「その建物は泥と虫だらけで、水は汚くて飲めませんでした。給油所に行って飲料水を買わなければならず、私は糖尿病を、孫のアリアは腎臓を患っているため、非常に大変でしたが、地元の方々がとてもよくしてくださいました」と当時を振り返ります。ザホ郡に逃げてきたのときは6年生だったと話すアリアさん。「建設途中の建物で生活していたので学校に行くことができませんでしたが、仮設住宅に移り、こちらでの生活は快適で幸せです。そして、近い将来、このキャンプに学校ができるようなので、弟たちと一緒に学校に通えると思うと嬉しくてたまりません」と話すアリアさんの顔は笑みでいっぱいでした。

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【マフムッドさん(80才)】
「こちらに移る前はザホ郡バティファで家を借りて家族で住んでいました。その家に住んでいたころ、私たちは幸せでした。地元の人びとがとても寛大で、彼らは自分たちのことを親戚と思って、必要なものがあったら何でも言ってくださいねと声をかけてくれて、季節の果物を持ってきてくれたりしました。ただ、彼らには収入がなく、仕事を見つけるのも難しいようで、貯金を取り崩して生活されていたようでした。そのような経済状況の中、私たちのことを助けてくださっていたこともあり、彼らの貯金が底をついておられたようで、これ以上彼らに迷惑をかけられないと思っていたときに仮設住宅に移れることが分かり、地元の人びとのためにも安堵感を覚えました」

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【サアッド・ゼダンさん(50才)】
「シンジャール地方から逃げてこちらの仮設住宅に移るまでは、ザホ郡シャラニッシュにある建設途中の建物に、ほかの4家族と生活していましたが、生活環境は非常に劣悪なものでした。その場所はトルコとの国境沿いで人里から離れていたため、市内まで遠く、生活物資を購入するために多額の交通費がかかってしまい、大変でした。しばらくして、トルコ政府がシャラニッシュにある山に(潜伏しているある武装グループに対して)空爆を開始したこともあり、ますます生活しづらくなっていました。そのような状況でしたので、こちらに移ることができて、家族各々の仮設住宅で生活することができて本当に有り難いと思っています。また、ヤジディ教徒の旧友の一人に再会することができ、喜びもひとしおです。シンジャール地方ではイスラム教徒もヤジディ教徒も仲良く一緒に暮らしてきましたので、宗教的対立を煽るようなことをする人はシンジャールには誰もいません」とシンジャールでの平和な日々を懐古しながら、胸の内を話していました。

PWJは今後も、イラク国内避難民の生活の質の向上のため、支援を継続します。引き続き、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願い致します。

※本事業は、みなさまからのご寄付のほか、国際連合人間居住計画(UNHABITAT)による資金などにより実施しています。

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