いつもの年だと収穫が最盛期を迎える時期だというのに、東ティモール・レテフォホのコーヒー農園は2007年、7月に入っても静かだった。コーヒーの実がさっぱり色づかない。そのうえ実の数も極端に少ない。収穫時期の大幅な遅れは前年のエル・ニーニョ現象の影響、実りが少ないのは今年が裏作の年にあたっているのと、雨が少なかったためだという。収穫の不安定さは、独立から5年を経たこの国の足取りとも重なってみえる。それでもコーヒーは今年も実った・・・。
裏作の今年もレテフォホの山に赤い実
長い独立闘争や、圧倒的多数が独立を支持した住民投票後の混乱を経て、東ティモールが「21世紀最初の独立国」になったのは2002年5月。駐留していたPKO(平和維持部隊)や多くの国連機関職員も早々に撤退し、“復興のモデル”と思われていた。しかし2006年春に表面化した国軍内のあつれきは、出身地域をめぐる住民間の騒乱に拡大。国の基盤の弱さをさらけ出してしまった。
7月下旬、ようやく待ちに待った収穫期が訪れた。レテフォホの山には、例年のように、赤く熟した実をていねいにつみ取る農民たちの笑顔があった。彼らも地道な努力を続けている。豊作と不作のギャップを少しでも埋めるため、PWJの指導を受けながらコーヒーの木を植え替え、農園全体を若返らせようという取り組みを進めている。 PWJにコーヒー豆を売るだけではなく、生産者組合の自立に向けた歩みも始まった。
こうした積み重ねはやがて、平和で安定した国をつくることに結実するだろう。そのときもレテフォホの山にはコーヒーの赤い実が揺れているに違いない。

(C)Peace Winds Japan
自立へ進む生産者組合「カフェ・タタマイラウ」
東ティモール・レテフォホでPWJとともにコーヒーの品質向上に取り組んでいるのが生産者組合「カフェ・タタマイラウ」。2003年に10世帯からスタートした組合には現在、233世帯が参加しています。
課題は、収穫したコーヒーの果実(コーヒーチェリー)の精製から輸出までの手続きを組合メンバー自身で行い、一つの組織として自立していくことです。事務手続きや会計処理に不慣れな彼らにとっては、高品質コーヒーの生産と同じく難しい課題です。
今年は収穫量の落ち込みも懸念されますが、そんななかでも日本の消費者の信頼を失わないよう品質を維持することは欠かせません。コーヒー豆のコンテナが日本に向けて首都のディリを出港するまで、緊張と心配の日々が続きます。組合のリーダーたちにこの緊張感を伝えていくことも今年の目標の1つです。

生産者組合「カフェ・タタマイラウ」のロゴ
(C)Peace Winds Japan
地域に広がる野菜づくり
PWJがJICA(国際協力機構)の協力で進めるコーヒー生産者支援事業では、コーヒーの品質向上とともに野菜栽培技術の普及にも取り組んできました。組合メンバーの多くはコーヒーに依存して限られた現金収入から野菜を買うため、栄養が偏りがちになり、不作の年などに栄養不良になる人も少なくないため、野菜づくりを広めるのが目的です。
実際に多くの種類の野菜を育て、地域にあった作物や栽培方法を検討した結果、マメ科の植物が土壌の改良にもつながって効果的なことがわかりました。もちろん有機農法で、堆肥にはそれまで捨てていたコーヒーの果肉や殼、家畜の糞を利用しています。
事業5年目の今年は、組合の18あるサブグループすべてが雨期の終わりを機に野菜づくりを始めました。担当の東ティモール人スタッフが連日、各グループの畑を回って指導し、毎日の草むしりや害虫の除去は、子どもたちも大人をまねて楽しみながら手伝っています。コーヒーが裏作の今年は、野菜の販売による収入が家計を支えることも期待されます。

野菜の手入れをする住民
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